ビタミンAとは?
ビタミンAは、「脂溶性ビタミン」という、水に溶けにくく油に溶けやすい性質を持つビタミンの一種です。レチノール、レチナール、レチノイン酸の3つを総称してビタミンAと呼びます。
視力や皮膚、粘膜の健康を保つために必要な栄養素として知られています。動物の成長にも関わり、生命維持活動に欠かすことができません。免疫系や生殖機能など、多くの臓器が健康的に機能するためにも必須です。
ビタミンAの働き
働き | 不足するとおきやすい症状 |
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粘膜を守る |
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骨や皮膚の つくりかえに 役立つ |
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視力のもとになる |
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肝臓機能の正常化 |
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IgA抗体をつくる |
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実は体の中の重要な働きを担っているんだね!
ビタミンAが不足する原因は?
【原因1】摂取量の低下
動物性食品の摂取量の低下や、カロリー制限などのダイエット志向によりビタミンAが不足します。
【原因2】需要量の増大
感染症や妊娠、成長期により需要が増大します。
ビタミンAは動物性食品に多く含まれています。そのため野菜中心のダイエットなどで、動物性食品を過度に制限している方は、注意が必要です。
また、感染症の疾患や、妊娠、成長期をきっかけに、体内でのビタミンAの需要が増加します。
体に入ったビタミンAは、脂質とともに小腸で吸収されます。そのほとんどは肝臓に蓄積され、残りは血液によって心臓、肺、腎臓などの各組織に運ばれます。
吸収には胆汁酸が必要で、胆汁酸は食事を摂取することによって分泌が促されるため、ビタミンAは、食事とともに摂取することも重要です。
もしかしてビタミンA不足!?
※3つ以上該当したらビタミンA不足の可能性大
- 成長が著しい新生児やお子様
- 肌トラブル、乾燥肌に悩んでいる
- 目、鼻などの粘膜の乾燥が気になる
- 視力低下(夜盲症)、眼の乾燥(ドライアイ)で悩んでいる
- 風邪を引きやすい、感染症にかかりやすい
- がん家系である
- ピロリ菌に感染している
- 婦人科のトラブルが多い
- ニキビ・吹き出物、イボ、ウオノメができやすい
- アトピー性皮膚炎が気になる
成長期にも欠かせない栄養素なんだね♪
ビタミンAの運搬には、タンパク質が不可欠!
吸収されたビタミンAを全身に運ぶためには、「2種類のタンパク質」でできた輸送体が不可欠です。このタンパク質がトラックのような役割を果たし、血管を通ってビタミンAを肝臓などの貯蔵細胞へ届けます。
そのため、ビタミンAは、タンパク質と一緒に摂ることを心がけましょう。
レバーやウナギなら、ビタミンAもタンパク質も豊富♪
風邪予防とビタミンAの関係は?
鼻や口、喉は外の世界と繋がっているため、ウイルス、チリや埃などの侵入から体を守る努力が必要です。
喉の粘膜には、粘液で覆われたほうきのような毛(繊毛)が存在し、粘膜に付着したウイルスなどの異物を、繊毛がパタパタと送り出して体内に入らないように体を守っています。「ビタミンA」はこの粘液の材料として重要です。
免疫を高める栄養素としては「ビタミンC」が有名ですが、細菌・ウイルスなどの敵の侵入から身を守るため「ビタミンA」と「タンパク質」も必須の材料と言えます。
ビタミンAを摂取できる食事って?
ビタミンAを多く含む食材は、動物の肝臓(牛レバー、豚レバー、鶏レバーなど)、魚(ウナギ、サケ、マグロ、サバなど)、卵黄などです。
なお、1日に摂りたいビタミンAは、オーソモレキュラー栄養療法では20,000IUと考えられています。
この量は、ウナギ蒲焼なら約4.4串(約440g/1串100g想定)、鶏レバーなら約43g、ニンジンなら約6.1本(約917g/1本150g想定)に相当します。
オーソモレキュラー栄養療法で推奨される1日に摂りたい「ビタミンA」の目標量20,000IUを食事で摂るには?
毎日食べるのは、難しい方がほとんどではないでしょうか?
栄養療法を行う医療機関などで相談の上、サプリメントを活用することもおすすめします。
毎日ウナギやレバーは難しいよね〜。
過剰摂取の心配は?
私たちの体には、肝臓を中心に、肺、消化器、リンパ節などに「ビタミンA貯蔵細胞」が存在しています。余ったビタミンAが蓄えられ、必要に応じて各器官に供給されており、必要量をコントロールする機能が備わっているのです。そのため、通常の食事ではビタミンAの過剰症は心配ないと考えられます。
しかし、サプリメントのように高濃度にビタミンAが配合されている食品を摂る場合は注意が必要なケースがあります。
サプリメントを活用する場合は、医療機関で相談することをおすすめします。
オーソモレキュラー栄養療法の基本
オーソモレキュラー栄養療法では、特定の不足栄養素を補う前に、基礎的な栄養素(主に、タンパク質、鉄、ビタミンB群)がヒトの体の土台作りの材料として重要と考えています。これらの栄養素の体内バランスを整えた上で、不足している栄養素を補うことで、健康維持や不調の改善を目指します。
参考文献
【1】出典:文部科学省「日本食品標準成分2015年版(七訂)」