ビタミンDってどんな栄養素?効果と摂取方法について徹底解説!

 

ビタミンDとは

ビタミンDは、脂溶性の栄養素で、現代人に不足しがちな栄養素の1つです。
魚類(サケやイワシ、ニシン、タラの肝油など)、乳製品、卵黄などにビタミンDが含まれていますが、日光の紫外線を浴びることで私たちの皮膚で作り出すことができる栄養素でもあります。

ビタミンDは、カルシウムの吸収を助けることから、骨や歯の維持に欠かせない栄養素と言われています。骨密度の低下や骨折リスクの増加などの対策に必要とされます。
一方で、近年では、免疫機能、血糖調整、妊娠、メンタルなど、様々な体のコンディションと関わっている栄養素として注目されています。

ビタミンDって、とても大事なんだね!

現代人はビタミンDが不足しがち!

魚を食べる機会が減るなどの食生活の変化や、テレワークなどによる外出機会の減少、過剰な日焼け対策による影響か、男女問わず日本人の多くがビタミンD不足という報告もあります。

ビタミンDは骨の健康や免疫機能に重要な役割を果たすため、不足は健康に悪影響を及ぼす可能性があります。まずは、食生活や生活習慣に気をつけましょう。
ビタミンD不足による不調が気になる方は、栄養療法を行う病院やクリニックで、医師に相談してみることもおすすめします。

ビタミンD濃度
参考文献:【1】

もしかしてビタミンD不足!?

※3つ以上該当したらビタミンD不足の可能性大

  • 室内にいる時間が長い、あるいは夜型の生活
  • 毎日日焼け対策をしっかりとしている
  • アレルギーや花粉症に悩んでいる
  • 血糖値に不安がある
  • 肥満気味である
  • 長期間の妊活を行っている
  • 成長期である
  • 風邪を引きやすい
  • 気分が落ち込みやすい
  • 魚やキノコ類をあまり食べない

免疫のカギを握るのはビタミンD!?

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行以降、「免疫」という言葉をよく聞くようになりました。「ウイルスに負けないために、免疫を高めたい!でも方法が分からない…。」という方は多いのではないでしょうか。
ビタミンDには、免疫調節の働きがあり、様々な感染症(風邪、インフルエンザ、気管支炎、肺炎など)の発症や悪化の予防に役立つことが分かってきました。

ビタミンDは細胞同士をぴったりと結びつける働きをする栄養素なので、ウイルスなどの外敵が体に入り込むのを防ぐ役割を果たしてくれます。

さらに、抗菌タンパク質の生産力のUP、炎症反応のコントロール(サイトカインの調整)、免疫細胞の増殖、過剰な免疫反応を抑える機能など、様々な面から免疫との関わりが深く、ビタミンDへの注目が高まっています。

免疫
参考文献:【2】

強い体に欠かせない栄養素なんだね!

インフルエンザ予防にもビタミンDを。

日照時間が短くなる冬は、血液中のビタミンD濃度が下がってしまう時季でもあります。そして、インフルエンザの流行シーズンと一致しています。ビタミンDを摂取することで、インフルエンザの罹患率が下がるという研究結果も出ています。

お日様に当たる機会が減ってしまう冬には、サプリメントなどを活用して上手にビタミンDを補うこともおすすめです。

人間がひなたぼっこ好きなのは、健康にも関係あったんだね。

花粉症対策でも、大注目のビタミンD!

花粉症は、特に春と秋に、大量に飛散した花粉が体内に侵入することで引き起こされるアレルギー性疾患ですが、近年の研究では「ビタミンDとの関連性」が注目されています。

ビタミンDが不足すると、粘膜などの「細胞と細胞の結びつき」が弱まり、細胞の隙間から異物(花粉などのアレルギー物質)が体内に侵入しやすくなります。そのため、アレルギー反応が起こってしまうというメカニズムです。
ビタミンDは、免疫システムをサポートし、過剰なアレルギー反応の抑制に大いに役立つ可能性があります。

長年の花粉症でお悩みの方はビタミンD不足の可能性もあります。ビタミンDを意識して摂取してみることをおすすめします。

一方で、花粉症の予防・治療法として、ビタミンDの単独摂取での効果を保証するものではないので、花粉症の症状緩和には、医師の指導に基づいた適切な治療法を選択しましょう。

細胞と細胞の結着にビタミンDが必要
参考文献:【3】

細胞と細胞の結びつきが弱まり、その間から異物が体内に侵入してしまうと、「アレルギー反応が起こる」などの原因となります。特に腸粘膜で起こることを「リーキーガット(腸漏れ)」と呼びます。

花粉症で悩んでる人は、試してみてほしいな♪

「妊娠のビタミン」としても重要。

妊娠を希望する女性が意識したい栄養素は「ビタミンD」です。
子宮内膜の環境を整える「着床に必要な栄養素」と言われ、妊娠率に関係するとされています。
40代でビタミンD濃度が低い女性ほど卵子の減少が早いという研究や、ビタミンD不足の女性は妊娠初期の流産のリスクが高まるという研究もあります。

さらに、男性のビタミンD不足は、精子の運動率や正常精子形態率の低下にも関わるという報告もあります。妊娠を望むカップル両方に必要な栄養素と言えます。

妊娠前
参考文献:【4】

妊娠を望む方は、ビタミンDをぜひ!

ママとお腹の赤ちゃんの健康維持にも欠かせない!

妊娠中も、母体と胎児の健康をサポートするために、ビタミンDは不可欠です。
カルシウムの吸収を助け、骨代謝に関わるビタミンDは、母体の骨の健康を保つだけでなく、胎児の骨の発育や健やかな成長にも関与します。
さらに、免疫システムの調節にも寄与し、母体の免疫機能をサポートします。

また、妊娠中にビタミンDを補給した母親から生まれた子供は3歳までの喘息・喘鳴のリスクが低減したという報告もあり、産後の赤ちゃんの免疫にも関与していると考えられます。

ビタミンD不足は、妊娠高血圧症候群や糖尿病などの合併症のリスク増加とも関連しているとされています。

妊娠中のビタミンD摂取については、医療専門家のアドバイスを受けましょう。適切なビタミンDサプリメントの摂取が推奨される場合もあります。

妊娠中
参考文献:【4】

ママと赤ちゃんの健康に欠かせない栄養素なんだね。

産後のママと赤ちゃんの健康のためにビタミンD!

母乳は新生児に必要な栄養素を提供し、免疫力を高める抗体を含んでいます。また、子宮収縮を助けたり、母親の体重を戻すのに役立つことがあります。

さらに、母乳のビタミンD濃度の低下が、子どものビタミンD欠乏に関与しているという報告もあります。
ビタミンDは妊娠前から産後までママと赤ちゃんの健康を支える栄養素と言えるため、意識的に摂取するのがおすすめです。

産後
参考文献:【4】

高齢者もビタミンD不足に気をつけて!

カルシウムの吸収を促進し、骨の健康を維持するために重要な役割を果たすビタミンDは、更年期以降の女性に特に意識して摂取して欲しい栄養素でもあります。

なぜなら閉経後の体では、骨の代謝を調節するエストロゲンの産生が低下するため、急激に骨がもろくなり、骨粗しょう症のリスクが上昇します。
ビタミンDをしっかりと摂取することで、骨粗しょう症や転倒による骨折を防げる可能性があるためです。

同時に、ビタミンDは、免疫システムの正常な機能にも影響を与えます。高齢者は通常、免疫力が低下しやすいので、ビタミンD摂取がおすすめです。

高齢者の中には施設などへの入居や、足腰の衰えなどにより、日光への露出が制限される方も多くいらっしゃいます。ビタミンDは、食べ物以外に、肌が紫外線(UVB)にさらされることで合成することができますが、日光に当たる時間が少ない場合は、ビタミンDの摂取に気をつけましょう。

ビタミンDを摂取できる食事って?

ビタミンDは、サケやイワシ、ニシンなどの魚に多く含まれます。特に寒冷地で育つ魚は、自然界でビタミンDを合成する機会が多いため、高いビタミンD濃度と言われています。卵黄もビタミン Dを多く含みます。
シイタケやキクラゲは、日光に当てることでビタミンDの含有量が増えるため、「天日干しシイタケ」や「乾燥キクラゲ」などもビタミンDが摂取できます。

ビタミンDって、魚や天日で干したキノコに多いんだね!

ビタミンDは脂質と一緒に摂取を!

ビタミンDは「脂溶性の栄養素」です。「脂溶性」と言われてピンとこない方も多いかもしれませんが、「脂溶性ビタミンは、脂質に溶けやすい性質があり、脂質があることで吸収の効率が上がる特長がある」ということです。

そのためビタミンDの多い食材は、油を使った調理をして食べる、脂身の多い肉や魚と一緒に食べるなど、脂質とともに摂るのがおすすめです。

オーソモレキュラー栄養療法で推奨される1日に摂りたい「ビタミンD」の目標量5,000IUを食事で摂るには?

オーソモレキュラー栄養療法で推奨される1日に摂りたい「ビタミンD」の目標量5,000IUを食事で摂るには…
参考文献:【5】

「サーモンとキノコのバター炒め」なんて良さそう。

オーソモレキュラー栄養療法の基本

オーソモレキュラー栄養療法では、特定の不足栄養素を補う前に、基礎的な栄養素(主に、タンパク質、鉄、ビタミンB群)がヒトの体の土台作りの材料として重要と考えています。これらの栄養素の体内バランスを整えた上で、不足している栄養素を補うことで、健康維持や不調の改善を目指します。

参考文献

【1】Miyamoto, T., et al. (2015). Keio J. Med., 65(2), 33-38. doi: 10.2302/kjm.2015-0010-OA
【2】Martens, P. J., et al. (2020). Nutrients, 12(5), 1248. doi: 10.3390/nu12051248
Heilborn, J. D., et al. (2010). Exp. Dermatol., 19(4), 332-338. doi:10.1111/j.1600-0625.2009.00997.x
【3】Zhang, Y. G., et al. (2013).Tissue Barriers, 1(1),e23118 .doi: 10.4161/tisb.23118
【4】Naderi, Z., et al. (2018). Gynecol. Endocrinol., 34(5), 409-412. doi: 10.1080/09513590.2017.1410785
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Du, H., et al. (2005). Mol. Endocrinol., 19(9), 2222-2223. doi: 10.1210/me. 2004-0336
【5】文部科学省「日本食品標準成分表 2015年版(七版)」