アトピー性皮膚炎は、乾燥やかゆみなどの症状が日常生活に影響を及ぼすことが多く、その改善には内側からのケアが重要です。
そこで近年注目されているのが、オーソモレキュラー栄養療法です。この治療法では、皮膚の材料となるタンパク質をはじめ、ビタミンやミネラルなどの栄養素を適切に補うことで、肌のバリア機能をサポートし、アトピーの症状を和らげることを目指します。
本記事では、アトピー肌に有効な栄養素や食事のポイントについて、オーソモレキュラー療法の観点から詳しく解説します。
オーソモレキュラー栄養療法は、栄養素を補うことで、不調の改善を目指す治療法です。
アトピー性皮膚炎の原因と現在行われている一般的な治療
アトピー性皮膚炎は、皮膚のバリア機能の異常、遺伝的要因、環境要因、免疫反応の過剰が絡み合って発症するとされています。皮膚が乾燥しやすく、外部からの刺激に弱いため、痒みや炎症が頻繁に現れるのが特徴です。
原因は複雑で、1つに限られないため、治療法も多岐にわたります。一般的な治療としては、ステロイド外用薬や免疫抑制剤の使用が行われ、炎症の抑制や皮膚の保護を目的としています。また、保湿剤の使用によって皮膚の乾燥を防ぎ、バリア機能を改善することも重要です。
参考文献:【1】
アトピー性皮膚炎の方が不足していると考えられる栄養素
アトピー性皮膚炎の患者さんは、特定の栄養素が不足していることが多く、これが症状の悪化につながる場合があります。
タンパク質
タンパク質は皮膚の材料であり、体内での細胞修復や免疫機能の向上にも欠かせない栄養素です。アトピー性皮膚炎の患者さんは、皮膚のバリア機能が弱いため、皮膚の修復を促進するために十分なタンパク質を摂取することが重要です。
特に、魚や肉、卵、大豆製品など、高品質なタンパク質源を食事に取り入れることで、体内の組織修復をサポートできます。
ビタミンA
ビタミンAは皮膚のバリア機能を強化し、乾燥や炎症を抑える重要な栄養素です。そのため、ビタミンAが不足すると、皮膚のバリア機能の低下、乾燥や荒れの悪化を引き起こす原因となります。
亜鉛
亜鉛は、ビタミンAと密接に連携して働くミネラルであり、アトピー性皮膚炎の患者さんにとって重要な栄養素です。特にレチノールを全身の組織に運ぶ際に必要不可欠であり、ビタミンAの吸収を助ける役割を果たします。
また、亜鉛は皮膚の修復や免疫機能の向上に寄与するため、アトピー性皮膚炎の症状改善に大きく貢献します。
亜鉛が豊富に含まれる食品には、牡蠣、赤身肉、豆類、ナッツなどがあります。
アトピーの人が気を付けるべき食事のポイント
アトピー性皮膚炎の改善には、食生活や生活習慣の見直しがとても重要とされています。特に、食事は皮膚の材料を補充するためだけでなく、炎症のコントロールや皮膚のバリア機能改善に大きく貢献することができるため、見直し、改善することがおすすめです。
食事の見直しポイントは大きく分けて3つあります。
抗炎症作用のある栄養素を摂取する
アトピー性皮膚炎の症状を緩和するためには、体内の炎症を抑える栄養素を積極的に取り入れることが重要です。例えば、オメガ3系脂肪酸が豊富な魚(サーモン、マグロなど)は、抗炎症作用が強く、皮膚の健康に役立つとされています。
反対に、市販の総菜、冷凍食品やインスタント食品などの加工された食品は、炎症を促進しやすいため、避けることをおすすめします。
砂糖の摂取を控える
砂糖も、体内の炎症を引き起こしやすい食品の一つです。砂糖が多く含まれる食品は、血糖値を急激に上げ、インスリンの過剰分泌を促すことで、炎症を助長する可能性があります。
アトピー性皮膚炎の人は、できるだけ、糖質の多い食品を避けるのがおすすめです。
ビタミンAと亜鉛をバランスよく摂る
ビタミンAと亜鉛は、特にアトピー性皮膚炎の管理において重要な役割を果たします。亜鉛が不足すると、ビタミンAの吸収が妨げられるため、両方をバランスよく摂取することが大切です。
レバー、卵黄、緑黄色野菜などはビタミンAが豊富であり、これらの食品とともに、亜鉛を含む食品を摂ることで、双方の摂取が期待できます。
まとめ
アトピー性皮膚炎の改善には、外用薬や免疫抑制剤だけでなく、日常の食事にも注意を払うことが重要です。オーソモレキュラー栄養療法の観点から、タンパク質、ビタミンA、亜鉛を意識した食事を心掛けることで、皮膚のバリア機能を強化し、体内の炎症を抑えることが可能になります。
また、抗炎症作用のある食品を積極的に取り入れ、加工食品や砂糖の摂取を控えることが、アトピー性皮膚炎の症状を緩和するための効果的なアプローチとなります。
オーソモレキュラー栄養療法の基本
オーソモレキュラー栄養療法では、特定の不足栄養素を補う前に、基礎的な栄養素(主に、タンパク質、鉄、ビタミンB群)がヒトの体の土台作りの材料として重要と考えています。これらの栄養素の体内バランスを整えた上で、不足している栄養素を補うことで、健康維持や不調の改善を目指します。
参考文献
【1】国立研究開発法人 国立成育医療研究センター アトピー性皮膚炎
https://www.ncchd.go.jp/hospital/sickness/children/allergy/atopic_dermatitis.html

水流 琴音(つる ことね)
「暮らしのなかで自然にふれる」やさしい食を台所から育む
【所持資格】
管理栄養士、一般社団法人オーソモレキュラー栄養医学研究所 認定ONP(7期)
【活動・経歴】
フリーランス管理栄養士として活動中。
オーソモレキュラー栄養療法を取り入れたクリニックで栄養カウンセラーとして勤務。
また、クリニックでの栄養療法の導入支援やスタッフ研修も行っている。
その他、フリーランスとして予防医療に関する発信や執筆、一般向けセミナー講師としても活動中。
【SNS】
Instagram
【認定ONPとは】
オーソモレキュラー・ニュートリション・プロフェッショナル(ONP)は、一般社団法人オーソモレキュラー栄養医学研究所が認定する栄養カウンセラーの資格です。認定ONPはオーソモレキュラー栄養医学の正しい理論に基づく、栄養素の知識、血液検査データの解釈、病態別栄養アプローチ、食事指導のプロフェッショナルとして、医療機関などで活躍しています。
また、同法人では、一般の方を対象としたオーソモレキュラー栄養療法の概要、食生活の指針、食品・サプリメントについてなど、最先端の栄養健康学のポイントを学べるオーソモレキュラー・ニュートリション・サポーター(ONS)講座を開講しています。