マグネシウムとは?
マグネシウムと聞くと、工業的に使われている金属を思い浮かべる方も多いと思いますが、一方で、マグネシウムは私たちの体に不可欠なミネラルの1種でもあります。
成人の体内には約20〜30gのマグネシウムが含まれており、すべての細胞や骨に広く分布しています。そのうち、約50〜60%は骨に存在するとされています。
マグネシウムは、タンパク質の合成、血圧調整、心機能の維持、神経伝達の制御、筋収縮に関与するなど、様々な生体機能をサポートする非常に重要な栄養素です。
栄養素というより、金属のイメージだった…。
日本人はマグネシウムが不足している。
水を「軟水」 「硬水」で区別する方法がありますが、この違いは、水に含まれるカルシウムやマグネシウムなどのミネラルの含有量です。ミネラルをあまり含まないのが「軟水」、ミネラルを豊富に含むのが「硬水」に分けられます。
日本の水道水や多くの天然水は軟水であり、ヨーロッパや中東などの硬水が生活用水として利用されている国に比べると、ほとんどの日本人は水からミネラルを多く摂取することができません。
また、昔は海水を煮詰めた「天然塩」を利用していたため、海水に含まれるマグネシウムを摂取することができていましたが、現代では海水からナトリウム以外の成分(カルシウム、マグネシウム、カリウムなど)を除去した「精製塩」が多く出回っています。精製塩は安価なため、多くの加工食品に使用されています。
こうした背景が影響してか、日本人のマグネシウム不足は顕著であり、なんと20歳以上のほとんどの年代で不足しています。
近年では、ミネラル含有量が大きく低下した精製食品や加工食品が普及しており、ますますマグネシウム補給が難しくなっています。

参考文献【1】
住んでいる国や地域の水と関連しているのは意外!
もしかしてマグネシウム不足!?
※3つ以上該当したらマグネシウム不足の可能性大
- 足がつりやすい
- 頭痛がある
- 目、鼻などの粘膜の乾燥が気になる
- 疲れやすい
- 花粉症
- 骨折しやすい
- 激しい運動をする
- 飲酒の習慣がある
- 緑の野菜、海藻類をあまり食べない
- 栄養療法でなかなか改善しない
こんな時にもマグネシウム
- 副腎疲労(ほか「ビタミンC」など)
- 糖尿病(ほか「亜鉛」など)
- ビタミンDで改善しない花粉症
マグネシウム不足が原因とは、なかなか気づきにくいよね…。
カルシウムだけでなく、マグネシウムもしっかり摂取!
カルシウム摂取に気をつけている方は多いと思いますが、マグネシウムを気をつけて摂取されている方はそう多くないのではないでしょうか?
カルシウムとマグネシウムは「ブラザーイオン」と呼ばれ、お互いが協力し合って働く関係です。バランスよく摂取することがとても大切です。
私たちの体は約37兆個の細胞から成り立ちます。その細胞一つひとつの内側と外側で、カルシウムとマグネシウムを適切な割合で保つことが、血管の緊張性を保ったり、心臓をきちんと動かしたりするために、とても重要と考えられています。
カルシウムは、骨や歯の形成に不可欠な栄養素というイメージがありますが、血管を収縮させる作用があり、マグネシウムは血管を弛緩させる作用があります。マグネシウムが不足してこのバランスが崩れると、血圧が上昇し、心臓の負担が増加する可能性があります。
マグネシウムって血圧にも関係しているんだね。
頭痛の原因はマグネシウム不足?
マグネシウム不足は、頭痛の原因になることがあると言われます。
頭痛には、筋肉が収縮することで起こるとされる「緊張型頭痛」や、血管が拡張することで起こるとされる「片頭痛(偏頭痛)」など様々なタイプがあります。
マグネシウムは筋弛緩や血流を改善する働きがあります。
特に筋肉の収縮を引き起こすカルシウムとのバランスを保って血管収縮を予防する役割や、血管の拡張を助けることで血液がスムーズに体内を流れるようサポートします。
そのためマグネシウムの補給は、様々なタイプの頭痛に有効との報告もあります。
頭痛の原因は多岐に渡り、医師と相談し、適切な治療法を検討することが重要です。マグネシウム補給が適切であるかどうかについても、医師の指導を受けることが非常に重要です。

参考文献【2】
原因不明の頭痛、マグネシウム不足が原因かも!?
足のつりもマグネシウム不足と関係あり?
カルシウムの細胞への出入りの調整に必要なのがマグネシウムです。
マグネシウムが不足すると、細胞内にカルシウムが入りすぎて、痙攣が起こります。臨床試験でも、マグネシウムが「足のつり」の改善に効果があることが確認されています。
また、妊娠中によく足がつったという女性も多いのではないでしょうか?
妊娠中のこむら返り(足のつり)には、複数の原因がありますが、1つには、ミネラルバランスの乱れが関連していると言われています。妊娠中はカルシウムやマグネシウムが不足しがちで、筋肉の収縮や痙攣、むくみが起こりやすいと言うのです。
さらに、高齢者は骨粗しょう症のリスクも高まるため、カルシウムと一緒にマグネシウムもしっかりと摂りましょう。

参考文献【3】
足がつったらマグネシウム不足のサインかも!
マグネシウムを摂取できる食事って?
マグネシウムは体内で合成できないため、食べ物から摂取する必要があります。
植物性食品では、大豆、ナッツ類(アーモンド、カシューナッツ、ピスタチオ、チアシードなど)に多く含まれます。がんもどき、豆腐などで摂取するのもおすすめです。ヒジキ、コンブ、ワカメ、アオサなどの海藻(藻類)でも摂取できます。
動物性食品では、アサリ、タコ、シシャモやカツオなどの魚類に多く含まれています。調理が手軽なサバの水煮缶も活用してみましょう。
オーソモレキュラー栄養療法で推奨される1日に摂りたいマグネシウムの目標量400mgを摂取するためには、ヒジキの煮物なら9皿(1皿7g)、アーモンドなら130粒(1粒1g)、冷奴なら4皿(1皿100g)も食べなくてはなりません。
栄養療法を行う医療機関などで相談の上、サプリメントを活用することもおすすめします。
オーソモレキュラー栄養療法で推奨される1日に摂りたい「マグネシウム」の目標量400mgを食事で摂るには?

毎日食べるのは、難しい方がほとんどではないでしょうか?
栄養療法を行う医療機関などで相談の上、サプリメントを活用することもおすすめします。
毎日ひじきの煮物9皿は難しいよね~
オーソモレキュラー栄養療法の基本
オーソモレキュラー栄養療法では、特定の不足栄養素を補う前に、基礎的な栄養素(主に、タンパク質、鉄、ビタミンB群)がヒトの体の土台作りの材料として重要と考えています。これらの栄養素の体内バランスを整えた上で、不足している栄養素を補うことで、健康維持や不調の改善を目指します。
参考文献
【1】平成30年国民健康・栄養調査 日本人の食事摂取基準2020年度より 推奨量を100とした場合
【2】Maier, J. A., et al. (2020). Nutrients, 12(9), 2660.
【3】Roffe, C., et al. (2002). Med. Sci. Monit., 8(5): CR326-330.
【4】文部科学省「日本食品標準成分表 2015年版(七訂)」