ビタミンCとは?
ビタミンCは、体に必要な水溶性のビタミンの1つですが、体内で合成できない栄養素のため、食事で摂取しなければなりません。
果物や野菜などに多く含まれ、「抗酸化作用」を持つことで知られ、細胞や組織を酸化ストレスから守る働きがあります。
また、ビタミンCは「コラーゲン合成」にも不可欠です。
コラーゲンは、皮膚、骨、血管、筋肉、軟骨など、体の様々な部位で、「細胞と細胞を結びつけることで、組織を支える役割」を担っています。そのため、コラーゲンが作られなくなると、細胞と細胞が離れやすくなり、組織の機能が低下してしまいます。
例えば、皮膚組織の細胞と細胞の結びつきが弱まることにより、肌の弾力が失われます。粘膜(外界から異物が侵入することから体を守っている)の働きが弱まると、ウイルスが容易に体内に侵入できる状態になります。
コラーゲンを作り出すことで、「細胞の結合」を保持し、傷の治癒、肌の健康、骨の強度、免疫機能のサポートなど、全身の健康を維持します。
他にもビタミンCは、非ヘム鉄(非ヘム鉄のうちの三価鉄(Fe+++))の吸収を促進・サポートする働きもあり、貧血の方にとっても摂取をおすすめしたい栄養素です。
ビタミンCって、全身の健康に欠かせないんだね〜!
ビタミンCは、美肌に重要?
ビタミンCは、美肌のもとと言われている「コラーゲン」の合成に欠かせません。
体内のコラーゲンの約40%は皮膚組織に存在し、皮膚の形状や弾力を維持しています。
肌のハリや弾力をUPしたい方は、ビタミンCをしっかり摂り、コラーゲンの合成、維持をサポートしましょう。
コラーゲンの合成に欠かせないから、美肌のビタミンということか。
骨の強さはコラーゲンが決め手!
骨は、芯に鉄を入れることで強度を高める「鉄筋コンクリート」の構造と似ています。骨において、鉄筋の役割を担うのが「コラーゲン」です。コラーゲンの質が悪かったり、量が少なかったりすると、折れやすい骨になってしまいます。
「コラーゲンの合成にビタミンCが欠かせないこと」は、これまでお伝えしてきたとおり!骨を強くする、強い骨を維持するためには、ビタミンCも重要なのです。
骨を強くするのは、カルシウムだけじゃないんだね!
免疫力UP!ビタミンCで感染症予防を。
なぜか風邪をひきやすい。治りにくい。そんなあなたに気をつけて欲しい栄養素がビタミンCです。ビタミンCは感染症対策に、2つの役割を果たします。
1つ目は、風邪をひきにくくするために、「コラーゲンの合成」をサポートすること。風邪は粘膜などのバリア機能が低下することで感染しやすくなりますが、コラーゲンは粘膜のバリア機能を整えてくれます。
粘膜や皮膚組織を構成するコラーゲンの合成を促し、バリア機能を高めることで、ウイルスや細菌の体内への侵入を防ぐことができるのです。
ビタミンCの細菌・ウイルスに対する働き①
2つ目には、体内で風邪菌をやっつけるために働く「白血球」を応援することです。白血球は免疫をつかさどり、風邪に感染してしまった後、体内に入り込んだウイルス・菌から体を守る役割を担っています。
体内にウイルスや細菌が侵入したとしても、その増殖を防ぎ、排除できれば、感染を防ぐことができるのです。これを担うのが免疫機能で、ビタミンCは白血球という免疫細胞の働きを増強させる働きがあるのです。
このように、風邪をひく前後の2段階で働くビタミンCを補うことで、守る力を高めましょう!
ビタミンCの細菌、ウイルスに対する働き②
「免疫力UPにビタミンC」と言われる理由がわかったよ!
ビタミンCは、鉄(三価鉄)の吸収をサポート!
鉄は、私たちの体にとって重要なミネラルです。役割は多岐に渡り、心と体の健康維持に欠かせない栄養素です。特に女性は月経や出産で多くの鉄を失うため、全体の5人に1人が鉄不足とも言われており、「貧血」で悩む方もとても多いです。
鉄には、「非ヘム鉄(主に植物由来の鉄)」と「ヘム鉄(動物由来の鉄)」があります。食品に含まれる非ヘム鉄には「二価鉄(Fe++)」と「三価鉄(Fe+++)」があり、その多くは「三価鉄」です。二価鉄は、摂取後にそのまま腸で吸収されますが、一方で、三価鉄は「ビタミンC」や「消化酵素」によって二価鉄に還元されてから体内へ吸収されます。
そのため、特に植物性由来の食品から鉄を効率よく吸収するためには、「ビタミンCと一緒に摂取すること」が1つのポイントです。
さらに、ビタミンCは、鉄の吸収を妨げるタンニンやフィチン酸の影響を軽減する助けにもなります。
食事から鉄を摂る時には、ビタミンCも一緒に摂ってみては?
ビタミンCが不足してしまう原因は?
ビタミンCは体内で合成することができない栄養素です。
一方で「ストレス」などで多く消費されてしまいます。ストレスの多い環境では、消費量も増えるため、日頃からしっかりと気をつけて摂取することが大切です。精神的なストレスのみならず、寒さ、暑さ、疲労、痛み、睡眠不足なども含まれます。ストレスが多い方は、意識的にビタミンCを摂取するようにしましょう。
さらに、「水溶性ビタミン」であるビタミンCは、水に溶け出しやすい性質があります。体外への排出スピードが早く、体内で余分となった量は、汗や尿として比較的容易に流れ出てしまいます。
体内に蓄積しにくいので、日常の食事・サプリメントから、「こまめに摂取すること」がとても大切です。
ビタミンCを含む食材は、ちょこちょこ食べることが大事なのかぁ〜!
タバコ、紫外線でも失われがち…。
喫煙によって酸化ストレスが増加し、ビタミンCの需要が高まります。酸化ストレスにより体内の抗酸化物質を消耗するため、喫煙者は、非喫煙者よりもビタミンCを多く必要とします。
紫外線にも注意が必要です。紫外線の刺激により活性酸素が発生してしまうため、その活性酸素を除去するためにビタミンCが消費されてしまいます。
もしかしてビタミンC不足!?
※3つ以上該当したら鉄不足の可能性大
- ストレスを感じている
- 激しい運動をしている
- タバコの習慣がある
- 生活リズムが不規則
- 紫外線をよく浴びる
- シミ、シワが気になる
- 疲れがたまっている
- 生野菜をあまり食べない
- 糖尿病、コレステロール値が気になる
- 白内障が気になる
ストレスって、体内の栄養素を減らしちゃうんだね。
ビタミンCは、摂りすぎにも要注意!
ビタミンCは長期間にわたって体内に蓄積することはほとんどありませんが、多めに摂ればよいというわけでもありません。
過剰なビタミンCの摂取は、下痢や腹痛などの消化器症状を引き起こしてしまう可能性もあるため、栄養療法を行う医療機関で医師と相談の上、適切な量を摂取することをおすすめいたします。
ビタミンCは普段からこまめに摂るのが大切なんだね!
加熱すると壊れやすいビタミンC!
ビタミンCは、加熱や調理に対して比較的敏感で、熱によって壊れやすい性質です。ビタミンCをできるだけ保持するためには、蒸す、炒める、湯通しするなど、短時間の加熱調理を選びましょう。
調理後もビタミンCを効果的に摂取できる食材として「新鮮な生の野菜・果物」が挙げられます。鮮度は、ビタミンCの含有量とも関係があります。すぐに食べられない時は、新鮮なまま冷凍することで、ビタミンCの損失を抑えることができます。
栄養は調理法も大切なんだね。
ビタミンCを摂るための調理のコツは?
ビタミンCは熱によって壊れやすい性質です。
以下の注意点を意識して料理すると、より多くのビタミンCを食事から摂ることができます。
【POINT①】水への流出に注意!
水溶性のビタミンCは、水にさらしたり、長時間茹でたりすると、流出してしまう場合があります。
例えば、サラダを作る時は、洗いすぎにも注意!スープにすると、溶け出したビタミンCも摂ることができます。
【POINT②】大きめに切る!
野菜や果物を細かく切ったり、食材の繊維を裁った部分を水で洗ったり、茹でたりすると、水に溶けやすいビタミンCは、切り口から溶け出してしまう場合があります。
あえて大きめに切ってみたり、繊維に沿って切ることで、流出を少なくできると言われています。
【POINT③】電子レンジを活用
加熱により壊れやすいビタミンCは、加熱時間(高温度にある時間)が短い方が、ビタミンCの残る割合は高くなります。
野菜を加熱する場合、茹でるより加熱時間が短い方法として、電子レンジも活用してみてください。
電子レンジもありなのは意外!
ビタミンCを摂取できる食事って?
ストレスが多く、美容への関心が高まっている現代において、オーソモレキュラー栄養療法では1日に2,000mgのビタミンCの摂取をおすすめしています。
この量を食事で摂るには、ピーマンなら生のまま約90個、ブロッコリーなら生のまま約5.5株、レモン果汁なら約100個分に相当してしまいます。… これって、食事のみで補うのは難しい量ですよね。
サプリメントの活用も視野に入れて、こまめに無理なく、ビタミンCを摂取しましょう。
オーソモレキュラー栄養療法で推奨される1日に摂りたい「ビタミンC」の目標量2,000mgを食事で摂るには?
ブロッコリー5株、レモン100個… 。サプリメントって助かる〜!
オーソモレキュラー栄養療法の基本
オーソモレキュラー栄養療法では、特定の不足栄養素を補う前に、基礎的な栄養素(主に、タンパク質、鉄、ビタミンB群)がヒトの体の土台作りの材料として重要と考えています。これらの栄養素の体内バランスを整えた上で、不足している栄養素を補うことで、健康維持や不調の改善を目指します。
参考文献
【1】文部科学省「日本食品標準成分表 2020年版(八訂)参考:一般社団法人全国清涼飲料連合会「レモン果実1個あたりのビタミンC量」の表示ガイドライン