年齢に負けない体作り!フレイル予防に欠かせない栄養戦略

 

年齢とともに進む筋力や体力の低下は、日常生活に大きな影響を与えることがあります。このフレイル状態を防ぐためには、適切な栄養を取り入れ、筋肉量の維持を意識することが重要です。
高齢期を健やかに過ごすための基本は、タンパク質をはじめとする栄養バランスの取れた食事です。本記事では、健康寿命を延ばし、フレイルを予防するための栄養戦略について解説します。

フレイルとは?

フレイルとは、加齢とともに身体的・精神的・社会的な活力が低下した状態を指し、特に転倒や骨折、認知機能低下のリスクが高まることが特徴です。
フレイルは要介護に移行する可能性もあるため、早期からの予防が重要です。そのためには、日常の食事や栄養管理を見直し、必要な栄養素を適切に摂取することが求められます。
栄養素が体内で最大限に活用されることを目指し、健康維持と予防を行っていきましょう。

下記項目の3つ以上に該当する場合は、フレイルの可能性が高いため注意しましょう。

項目評価基準
体重減少6か月で、2kg以上の体重減少
筋力低下握力:男性<28kg、女性<18kg
疲労感わけもなく疲れたような感じがする
歩行速度通常歩行速度<1.0m/秒
身体活動①軽い運動・体操をしていますか?
②定期的な運動・スポーツをしていますか?
上記の2つのいずれにも「週に1回もしていない」と回答

参考文献:【1】

高齢者が意識すべき栄養素は?

高齢者が意識すべき栄養素

フレイルの予防には骨格筋の維持が重要です。そのためには運動も大切ですが、筋肉を作る栄養素をしっかりと摂ることもとても重要です。
普段の食事では以下のような栄養素を積極的に摂りましょう。 

タンパク質

高齢者では筋肉量が減少しやすいため、筋力低下を防ぐためにタンパク質の摂取が重要です。体重1kgあたり1.5〜2.0gのタンパク質を目標とし、肉や魚、大豆製品、卵といった良質なタンパク源を意識的に摂取するようにしましょう。
高齢者は食事量を増やすことに難しさを感じている方も多く、少食の方には、プロテインパウダーやアミノ酸製品を活用するのも有効です。

ビタミンD

ビタミンDは骨の健康に不可欠であり、カルシウムの吸収を助ける役割を持ちます。高齢者は骨粗鬆症リスクが高いため、ビタミンDの十分な摂取が推奨されます。
ビタミンDは煮干しなどの丸ごと食べられる魚、鮭、サバ缶、キノコ類などに豊富に含まれています。食事だけでは不十分な場合は、ビタミンDのサプリメントの併用で不足を補うことも、おすすめです。

オメガ3系脂肪酸

魚やアマニ油、エゴマ油などに含まれるオメガ3系脂肪酸には炎症を抑え、血管の健康を保つ効果があります。
また、オメガ3系脂肪酸は、認知機能をサポートする役割もあります。フレイル予防には、身体的な機能だけでなく脳の機能維持も重要ですので、毎日の食事に取り入れる習慣を取り入れると良いでしょう。
刺身や缶詰、ちりめんじゃこやにぼしなどの小魚は手軽に摂取できるのでおすすめです。

口腔ケアもフレイル予防に重要!?

口腔ケア

フレイルの予防と改善には、実は口腔ケアが非常に重要な役割を担っています。オーラルフレイルと呼ばれる口腔機能の低下は栄養不足や誤嚥(食べ物が誤って気管に入ること)を引き起こすリスクを高めます。そのため、口腔ケアを意識した取り組みが大切です。

定期的な歯科受診で歯や歯茎の健康状態をチェックし、毎日の歯磨きやデンタルフロスの使用に加えて、舌や口腔内全体の清掃を意識的に行うことも大切です。これにより細菌の増殖が抑えられ、誤嚥性肺炎の予防にもなります。

飲み込む力や咀嚼力を強化するためにも、日頃からよく噛んで食事をすることも大切です。

食が細い場合はどんな食事の工夫をしたらよい?

高齢者は食が細くなりやすいため、1回の食事で十分な栄養を摂取することが難しくなることもあります。そんな時は、一度にたくさん摂取しようとせず、少量を頻回摂取することがポイントです。消化機能の低下した胃腸への負担を低減させることができます。
消化をよくするために消化酵素の含む大根おろしやキャベツを食事と一緒に摂取することも消化力を高めるサポートをしてくれるため、食が細い方におすすめです。
また、サプリメントなどを取り入れることもおすすめです。食べる量をさほど増やすことなく、ビタミンやミネラル、たんぱく質など体に必要な栄養素を効率的に補うことができます。

若い頃からの栄養管理が大切

若い頃からの栄養管理

フレイルは高齢者に特有の現象ではありますが、若い頃からの適切な栄養管理と運動習慣が、将来的なリスクを軽減します。特にタンパク質やビタミンD、オメガ3系脂肪酸を日常的に摂ることで、骨や筋肉の基盤を強化することが可能です。
バランスの取れた食生活を心がけることで、加齢による体力や筋力の低下を防ぐことができます。

まとめ

フレイルとは、加齢による身体的・精神的活力の低下で、転倒や認知機能低下のリスクが高まる状態を指します。早期予防が重要で、特にタンパク質、ビタミンD、オメガ3系脂肪酸を中心とした栄養素の摂取に心がけ、健康維持を図りましょう。

オーソモレキュラー栄養療法の基本

オーソモレキュラー栄養療法では、特定の不足栄養素を補う前に、基礎的な栄養素(主に、タンパク質、鉄、ビタミンB群)がヒトの体の土台作りの材料として重要と考えています。これらの栄養素の体内バランスを整えた上で、不足している栄養素を補うことで、健康維持や不調の改善を目指します。

参考文献

【1】国立長寿医療研究センター研究所 健康長寿教室テキスト第2版
https://www.ncgg.go.jp/ri/news/20210601.html

監修
水流琴音

水流 琴音(つる ことね)

「暮らしのなかで自然にふれる」やさしい食を台所から育む

【所持資格】
管理栄養士、一般社団法人オーソモレキュラー栄養医学研究所 認定ONP(7期)

【活動・経歴】
フリーランス管理栄養士として活動中。
オーソモレキュラー栄養療法を取り入れたクリニックで栄養カウンセラーとして勤務。
また、クリニックでの栄養療法の導入支援やスタッフ研修も行っている。
その他、フリーランスとして予防医療に関する発信や執筆、一般向けセミナー講師としても活動中。

【SNS】
Instagram

【認定ONPとは】
オーソモレキュラー・ニュートリション・プロフェッショナル(ONP)は、一般社団法人オーソモレキュラー栄養医学研究所が認定する栄養カウンセラーの資格です。認定ONPはオーソモレキュラー栄養医学の正しい理論に基づく、栄養素の知識、血液検査データの解釈、病態別栄養アプローチ、食事指導のプロフェッショナルとして、医療機関などで活躍しています。
また、同法人では、一般の方を対象としたオーソモレキュラー栄養療法の概要、食生活の指針、食品・サプリメントについてなど、最先端の栄養健康学のポイントを学べるオーソモレキュラー・ニュートリション・サポーター(ONS)講座を開講しています。