【アンチエイジング】紫外線から肌を守る栄養素とは?

 

美しい肌を保つために紫外線対策は欠かせません。日焼け止めを塗ることも大切ですが、紫外線による肌老化を遅らせる鍵となるのは、食事に含まれる栄養素です。この記事では、紫外線が肌に与える悪影響と、肌を守るために効果的な栄養素に焦点を当てます。

紫外線が肌に与える悪影響とは?

私たちの肌は日々、気温、花粉、大気汚染など環境の影響を受けています。肌老化を引き起こす様々な環境要因の中でも、紫外線は最も避けがたい存在と言えるのではないでしょうか。
紫外線が人間に与える最も大きな影響の1つが、肌の老化です。紫外線は肌をただ日焼けさせるだけでなく、長期的にみると、シワやたるみ、シミの原因となります。

紫外線によってシミができるメカニズム

紫外線が肌に当たると、肌は即座にメラニン色素を生成して自己防衛を始めます。メラニン色素は表皮細胞とバリア機能を形成し、紫外線を吸収します。美容にとって大敵のように捉えられているメラニン色素ですが、本来は、紫外線による肌内部やDNAへのダメージを未然に防いでくれる大切な存在なのです。
ただ、メラニン色素は肌を守る役割がある一方で、過剰に生成されるとターンオーバーが追いつかず、シミとして肌に残ってしまいます。メラニン色素が生成される要因である紫外線の対策を行うことは、肌の老化を防ぐためにも不可欠と言えるでしょう。

紫外線によってシワやたるみができるメカニズム

シワやたるみのある皮膚

皮膚は外側にある表皮と、その奥に存在する真皮に分かれています。真皮は主にコラーゲンで構成されており、皮膚の丈夫さを保つ役割を担っているのですが、紫外線はこのコラーゲンをはじめとする美容成分にダメージを与えます。紫外線によってこれらが損傷を受けることによる機能の損失がシワやたるみとして肌に現れるのです。

また、紫外線を浴びることによって、皮膚の細胞内では活性酸素が発生します。その影響でコラーゲンを分解する作用のある酵素「コラゲナーゼ」が活性化され、結果として真皮のコラーゲンを減少させてしまうのです。

参考文献:【1】【2】

紫外線ケアに必要なビタミンCの役割

肌老化を防ぐためには、体の内側からの紫外線対策も必要とされています。紫外線から肌を守るために重要な役割を果たすのがビタミンCです。

ビタミンCが紫外線ケアに効果的な理由

ビタミンCは強力な抗酸化物質で、紫外線を浴びることによって生成される活性酸素による細胞へのダメージから肌を守ってくれる働きがあります 

さらに、ビタミンCは肌の弾力を保つコラーゲンの生成にも不可欠な栄養素です。コラーゲンの減少は肌のシワやたるみの原因となりますが、ビタミンCはコラーゲンの生成を促し、肌へのダメージを予防・修復する働きに繋がっているのです。

ビタミンCが豊富な食材

生サラダ

ビタミンCと聞くと、レモンやオレンジなどの柑橘類を中心としたフルーツを思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし実のところ、パプリカやブロッコリーなどの野菜にもビタミンCは豊富に含まれています。これらは通年手に入る食材なので、積極的に日々の食事に取り入れることで、ビタミンCの摂取量を増やし、紫外線から肌を守る手助けをすることができます。

ビタミンCは水に溶けやすく、熱や酸に不安定な性質を持っています。生のままサラダに入れたり、電子レンジで調理したり、できるだけ加熱や水に触れる時間を短く調理することをおすすめします。

参考文献:【3】【4】

ビタミンEの働き

紫外線から肌を守る栄養素としてもう1つ重要な働きをする栄養素があります。それがビタミンEです。

ビタミンEの抗酸化作用

ビタミンEもビタミンCと同様、強力な抗酸化作用を持つ栄養素です。肌細胞の酸化により、肌の弾力性が低下し、シミ、シワ、たるみなどの老化サインが現れる可能性があります。ビタミンEは特に細胞の膜を構成する重要な成分である脂質と結びついて肌細胞の酸化を防ぐことで、健康な肌細胞を保つのに役立ちます。

 ビタミンEとビタミンCの相乗効果

ビタミンEとビタミンCを併用することで生じる相乗効果で、保湿効果を高めることができます。ビタミンCはビタミンEの再生を助け、その結果、両者の抗酸化作用が強化されると言われています。
したがって、ビタミンEとビタミンCを一緒に摂取することを心がけると、より効果的に肌の老化を防ぐことができるでしょう。

乾燥肌の方は紫外線の肌ダメージに要注意!

紫外線による肌へのダメージの大きさは、肌のコンディションによっても異なります。

日頃から水分と油分のバランスが整えられた健やかな肌であれば、外部刺激に耐えやすく、肌老化も遅らせることができます。乾燥肌の場合は、バリア機能が低下してしまい、肌が紫外線の刺激を受けやすくなってしまいます。さらに、紫外線は乾燥を加速させるので、さらなる肌トラブルを招く可能性があります。

日頃から肌のコンディションを整えておき、紫外線によるトラブルを防ぐためにも、ビタミンCとビタミンEの摂取を心がけましょう。

ビタミンEが豊富な食材

ナッツ

ビタミンEが豊富な食材としては、アーモンドやヘーゼルナッツなどのナッツ類が有名です。他にも、ほうれん草やブロッコリーなどの緑黄色野菜にもビタミンEが含まれています。
ビタミンEは脂溶性のため、油と一緒に摂取することで吸収率が高まります。油分も多く含まれるため食べ過ぎには注意が必要ですが、間食にナッツを取り入れることも手軽にできるビタミンE摂取方法の1つで

参考文献:【5】【6】

まとめ

美しい肌を保ち、肌老化を加速させないためには、外側からの紫外線ケアはもちろんですが、ビタミンC、ビタミンEなどの抗酸化作用のある食品を積極的に摂ることが重要です。

日差しが強くなってくるこの時期、体の内側からの紫外線対策を意識して、いつまでも若々しい肌を目指しましょう。また、紫外線によるダメージを防ぐためには、日頃から肌の健康状態を整えておくことも大切です。そのために日々の栄養管理に気を配りましょう。

オーソモレキュラー栄養療法の基本

オーソモレキュラー栄養療法では、特定の不足栄養素を補う前に、基礎的な栄養素(主に、タンパク質、鉄、ビタミンB群)がヒトの体の土台作りの材料として重要と考えています。これらの栄養素の体内バランスを整えた上で、不足している栄養素を補うことで、健康維持や不調の改善を目指します。

参考文献

【1】環境省 保健・化学物質対策 紫外線による健康影響
https://www.env.go.jp/chemi/uv/uv_manual.html

【2】田中浩 岡田富雄(1994) 「活性酸素の培養ヒト皮膚線維芽細胞におけるコラーゲン代謝に及ぼす影響」 J-stage
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sccj1979/28/2/28_2_172/_article/-char/en

【3】石神昭人(2021) 「健康や美容のマストアイテムービタミンCー」 J-stage
https://www.jstage.jst.go.jp/article/vso/95/12/95_532/_article/-char/en

【4】厚生労働省 「統合医療」に係る 情報発信等推進事業 ビタミンC
https://www.ejim.ncgg.go.jp/public/overseas/c03/09.html

【5】厚生労働省 「統合医療」に係る 情報発信等推進事業 ビタミンE
https://www.ejim.ncgg.go.jp/public/overseas/c03/11.html

【6】小城勝相(1998) 「運動時の増加する活性酸素を除去するビタミンCとビタミンEの相互作用に関する研究」 産学連携情報提供支援データベース
https://www.shinshu-u.ac.jp/faculty/textiles/db/seeds/pages/71566/jp.php

監修
水流琴音

水流 琴音(つる ことね)

「暮らしのなかで自然にふれる」やさしい食を台所から育む

【所持資格】
管理栄養士、一般社団法人オーソモレキュラー栄養医学研究所 認定ONP(7期)

【活動・経歴】
フリーランス管理栄養士として活動中。
オーソモレキュラー栄養療法を取り入れたクリニックで栄養カウンセラーとして勤務。
また、クリニックでの栄養療法の導入支援やスタッフ研修も行っている。
その他、フリーランスとして予防医療に関する発信や執筆、一般向けセミナー講師としても活動中。

【SNS】
Instagram

【認定ONPとは】
オーソモレキュラー・ニュートリション・プロフェッショナル(ONP)は、一般社団法人オーソモレキュラー栄養医学研究所が認定する栄養カウンセラーの資格です。認定ONPはオーソモレキュラー栄養医学の正しい理論に基づく、栄養素の知識、血液検査データの解釈、病態別栄養アプローチ、食事指導のプロフェッショナルとして、医療機関などで活躍しています。
また、同法人では、一般の方を対象としたオーソモレキュラー栄養療法の概要、食生活の指針、食品・サプリメントについてなど、最先端の栄養健康学のポイントを学べるオーソモレキュラー・ニュートリション・サポーター(ONS)講座を開講しています。